歯を失ったとき、その失った部分をどう補うかは多くの方が悩むところです。選択肢のひとつとして広く知られているのがインプラント治療です。とはいえ、実際にどんな手順で進むのか、どのくらいの費用がかかるのか、治療後はどう過ごせばよいのか、イメージしづらいと感じる方も少なくありません。このページでは、インプラント治療のおおまかな流れと費用の目安、そして治療後に大切にしたいメンテナンスについて、できるだけやさしくまとめています。判断の材料のひとつとして役立てていただければ幸いです。
インプラントとは
インプラントとは、歯を失った部分のあごの骨に人工の歯根を埋め込み、その上に人工の歯を取り付ける治療のことを指します。人工歯根には、骨となじみやすいとされるチタンなどの素材が使われることが多いようです。土台が骨にしっかり支えられるため、自分の歯に近い感覚で噛めると感じる方もいます。
歯を補う方法には、ほかにも入れ歯やブリッジがあります。入れ歯は取り外して手入れができる一方、ブリッジは両隣の歯を削って橋渡しのように人工歯を支えます。インプラントは隣の歯を削らずに済む場合がある点が特徴とされますが、外科的な処置をともなうため、誰にでも適しているわけではありません。どの方法が向いているかは、お口の状態や骨の量、全身の健康状態などによって変わってきます。気になる場合は、歯科医院でよく相談してみるとよいでしょう。
治療の流れ(検査〜手術〜上部構造)
インプラント治療は、複数の段階を踏んで少しずつ進めていくのが一般的です。まずはカウンセリングから始まり、悩みや希望、これまでの治療歴などを共有します。その後、レントゲンやCTといった画像検査でお口やあごの骨の状態をくわしく調べ、インプラントが可能かどうか、どのような計画で進めるかを検討していきます。
計画が定まると、人工歯根をあごの骨に埋め込む手術へと進みます。手術後は、埋め込んだ人工歯根が骨と結びつくのを待つ期間が設けられることが多く、この期間は数か月に及ぶこともあります。骨と十分になじんだことが確認できたら、土台を取り付け、最後に上部構造と呼ばれる人工の歯を装着して仕上げていきます。期間や手順は、お口の状態や治療方針によって人それぞれ異なります。焦らず、担当の歯科医師と確認しながら進めていくことが大切です。
費用の目安
インプラント治療は、多くの場合で公的医療保険が使えない自由診療にあたります。そのため、費用は歯科医院や使用する素材、治療範囲によって幅があります。一般的には1本あたり30万円から40万円ほどが目安として語られることが多いようですが、これはあくまで一例であり、実際の金額は医院によって異なります。
また、検査や手術、上部構造の費用が別々に分かれている場合や、骨の状態によって追加の処置が必要になる場合もあります。総額がいくらになるのか、何にどれだけかかるのかを事前にしっかり確認しておくと安心です。費用面で不安があるときは、遠慮せず見積もりの内訳を聞いてみましょう。入れ歯やブリッジと比べて費用感が大きく変わることもあるため、複数の方法を比べたうえで、自分に合った選択を考えていくとよいでしょう。
メンテナンスと注意点(インプラント周囲炎)
インプラントは装着して終わりではなく、その後の手入れがとても大切です。人工の歯であっても、まわりの歯ぐきや骨は自分自身の組織です。お手入れがゆきとどかないと、インプラントの周囲に炎症が起きる「インプラント周囲炎」と呼ばれる状態につながることがあります。これは歯周病に似たもので、進むとインプラントを支える骨に影響が及ぶ場合もあるとされています。
こうしたトラブルを避けるためには、毎日のていねいな歯みがきに加えて、歯科医院での定期的なメンテナンスを続けることがすすめられています。専門的なチェックやクリーニングを受けることで、変化に早めに気づきやすくなります。喫煙や全身の健康状態も関わってくると言われており、生活習慣を見直すことも大切なポイントです。長く快適に使い続けるためにも、治療が終わったあとの通院を習慣にしていきましょう。
インプラント治療についてさらにくわしく知りたい場合は、専門の学会が公開している情報も参考になります。日本口腔インプラント学会のサイトでは、治療に関する一般向けの情報が紹介されています。信頼できる情報源にも目を通しながら、納得のいく形で治療を考えていけるとよいですね。